【決算前の盲点】「最終仕入原価法」は、物価高であなたの税金を無意識に引き上げる!

1. イントロ:なぜあなたは「法定の楽さ」から抜け出せないのか?

年末(12月決算法人・個人事業主)、そして年度末(3月決算法人)が近づき、経理業務も佳境ですね。本当にお疲れ様です!

棚卸資産の評価方法を選ぶ際、多くの経営者や経理担当者は、「特に届出をしていないから」「法定だから」という理由で、「最終仕入原価法」を続けているのではないでしょうか。

  • 手間いらずの法定評価方法
  • 計算が驚くほど簡単

これらの魅力は計り知れません。しかし、物価上昇が継続している今、この「なんとなく」の選択が、あなたの会社の納税負担を静かに増やしているという、見えない事実があるのです。

2. 最終仕入原価法とは?(超ザックリ解説)

彼は在庫を評価する際、「期末に最も近い最後の仕入単価」しか使わない、最新レコード主義者です。

彼の行動原理:

「倉庫の奥にいる古い在庫? 関係ない! 俺は、決算直前の最終仕入単価を、すべての在庫に一律で適用するぞ!

この「一律最終価格適用」が、計算の楽さを生み出す一方で、物価高時代にあなたの税金計算に静かに影響するのです。

3. フィクサーが仕掛ける「納税負担増のカラクリ」

物価上昇が続いている状況では、通常、最終仕入単価は期中のどの単価よりも高くなっている傾向にあります。

あなたが最終仕入原価法を採用し続けると、こんな事態が起こります。

カラクリその1:利益の「サイレント・プッシュアップ」

彼は、古い安い単価で仕入れた在庫にまで「最新の単価」を当てはめます。

  • 棚卸資産の金額が静かに膨らむ!(例:昔100円で仕入れた商品も、期末の最終仕入単価150円で評価されることに!)
  • 棚卸資産の金額が増える⇒売上原価がその分少なく計上される(原価の計算上、在庫の金額が大きくなると、その分、売れたもののコストが減ってしまいます。)
  • 売上原価が減った結果… 利益が帳簿上で静かに押し上げられます!

彼はニヤリと笑います。「ふふふ。キミの利益を、税務会計のルールに従い正しく計算してやったぞ。」

カラクリその2:税金という「隠れた費用」

押し上げられたその「帳簿上の見せかけの利益」に対して、あなたは法人税や所得税を支払うことになります。

つまり、「手元のキャッシュに見合わない利益」にも税金がかかり、結果的に「本来よりも多くの納税が発生する」可能性があるのです。

彼は言います。「これは、法定評価方法というルールが生み出す、客観的な結果だ!」

物価高の時代、最終仕入原価法は「経理は楽だが、物価高の下では税務上の負担が増える傾向がある」という、二面性を持った評価方法なのです。

4. 決算前に意識すべきこと:彼の「裏の顔」を忘れるな

「楽だから」「法定だから」と最終仕入原価法を続けているあなたへ。

計算は簡単でも、この「納税負担増加リスク」からは逃れられません。決算前の今こそ、ぜひ彼の裏の顔を意識してください。

彼の評価を鵜呑みにするな!

  1. 最終仕入原価法で出た利益は、「物価高による押し上げられた分」が含まれていると冷静に判断してください。
  2. この利益を元に来期の価格設定を考えると、実際は原価率が高いため、薄利多売の罠にはまる可能性があります。

計算の手間を取るか、納税負担の増加を受け入れるか。どちらを選ぶにせよ、決算に臨む際には、最終仕入原価法が与える物価高のインフレ影響を、しっかり見据えて判断することが重要です。

基礎控除が最大95万円に!しかし住民税は‥

年末調整シーズンが近づいてきました。今年(令和7年分)の所得税の改正はビッグニュースが満載です。特に、基礎控除が最大95万円(合計所得金額132万円以下の場合)に大幅アップしたことは、パート・アルバイトをする多くの方に影響を与えます。

「所得税の基礎控除だけで95万円もあるから、勤労学生控除(所得税27万円控除)はもう意味がないのでは?」という疑問が出てくるかもしれません。

結論:それは大きな間違いです!

所得税では基礎控除が手厚くなりましたが、ある重要な税金で適用漏れが発生する危険性があります。それが「住民税」です。

所得税で基礎控除95万円でも「勤労学生控除」が必要な理由

勤労学生控除は、「合計所得金額が85万円以下など一定の要件を満たす学生等」の方を対象とした控除です。アルバイト収入だけであれば、年収150万円程度まで適用できる可能性があります。

この控除が特に重要なのは、以下の通り「住民税」の基礎控除額が所得税と大きく違うからです。

控除の種類所得税の控除額 (R7分改正)住民税の控除額 (改正なし)
基礎控除最大95万円最大43万円
勤労学生控除27万円26万円

今回の改正で所得税の基礎控除は手厚くなりましたが、住民税の基礎控除額は「最大43万円」のまま据え置きです。

例えば、年収130万円の学生さんの場合を考えてみましょう。

  • 給与所得の金額:130万円 ー 65万円(給与所得控除)= 65万円

この所得65万円に対して、住民税の控除はどうなるでしょうか?

控除申告の有無控除の合計額(住民税)課税される所得(住民税)
申告を忘れた場合基礎控除のみ: 43万円65万円 ー 43万円 = 22万円
申告した場合基礎控除(43万円) + 勤労学生控除(26万円) = 69万円65万円 ー 69万円 = 0円以下

このように、「勤労学生控除」を申告しないと、住民税では26万円分の控除が漏れてしまい、住民税が課税されることになります。

年末調整で確認すべきこと!

所得税の基礎控除額が大きくなり、所得税の税額がゼロになったとしても、住民税では大きな差が出ます。特に学生アルバイトの方は、

勤労学生控除の適用の有無を確認してください

年末調整では、このほかの所得控除を含め、適用漏れがないかチェックが必要です。(寡婦、ひとり親 適用漏れありませんか?)

補足:原則として未成年者は合計所得金額が135万円以下であれば住民税は非課税となります。(自治体により異なる場合があります。)

【年末調整が近づく】123万円 vs 160万円

令和7年度の税制改正により、パートで働く主婦(主夫)の皆さんが意識すべき「年収の壁」が変わりました。特に注目なのが、税制優遇の基準が引き上げられた123万円と、所得税非課税ラインが引き上がった160万円です。

「年末に向けてどれくらい働けばいいの?」「結局、手取りが増えるのはどっち?」と悩んでいる方のために、この2つの年収ラインのメリット・デメリットを【手取り】と【将来の安心】の視点から比較します!(前提:世帯主の合計所得金額が900万円以下)


1. 新しい壁の基礎知識:なぜ123万円と160万円が重要なのか

従来の「103万円の壁」が大きく変わり、パート収入に関する税金と社会保険のルールが以下のように変更されました。

従来の壁新しい壁(改正後)意味するもの
103万円123万円配偶者控除の適用上限(世帯主の税金優遇)
103万円160万円ご本人の所得税が非課税になるライン(基礎控除等の改正による)
130万円130万円配偶者の社会保険の扶養から外れるライン(大きな手取り減要因)

つまり、どちらの年収を選んでも、ご本人の所得税はかかりません。判断のポイントは、「社会保険の負担」と「将来の保障」の2点に絞られます。


2. 【比較】年収123万円 vs 160万円

A. 年収123万円のメリット・デメリット

年収123万円は、「130万円の壁」の手前に設定するラインです。

メリットデメリット
手取り最大化:原則として社会保険料の自己負担がゼロ。年収のほとんどが手元に残るため、今使えるお金が増えます。保障なし:病気や出産で働けなくなった際の傷病手当金・出産手当金などの公的保障がありません。
世帯優遇:世帯主は引き続き満額の配偶者控除(38万円)を受けられます。年金増加なし:将来受け取る年金は国民年金相当額(基礎年金)のみで、上乗せはありません。

【こんな人におすすめ】

  • とにかく今の手取り額を増やし、家計に貢献したい方。
  • 働く時間や日数を厳密に調整できる方。
  • ※ただし、勤務先が106万円の壁の適用対象企業ではないか、事前に確認が必要です。

B. 年収160万円のメリット・デメリット

年収160万円は、「130万円の壁」を超えてご自身の勤務先で社会保険に加入するラインです。

メリットデメリット
将来の年金増加:厚生年金に加入することで、老齢基礎年金に加えて老齢厚生年金が上乗せされ、老後の受給額が確実に増えます。社会保険料負担の増加:年収130万円を超えると、年間20万〜25万円程度の社会保険料(健康保険・厚生年金・介護保険)が引かれます。
手厚い保障:病気やケガで休む場合に傷病手当金、出産時に出産手当金を受け取れる安心感があります。世帯優遇:控除対象配偶者から外れます。(⇔満額の配偶者特別控除は受けられます。)
世帯収入増加:社会保険料を引かれても、123万円で抑える場合より世帯の総収入が増えます年末調整の注意:世帯主の年末調整で、ご自身の年収を正確に申告する必要があります。

【こんな人におすすめ】

  • 目先の保険料負担よりも、将来の年金増加休業時の安心を重視したい方。
  • 世帯収入の手取り増加を最優先したい方。(123万円のケースより年約10万円増加予想)

3. 年末調整で損しないための注意点

年収が123万円でも160万円でも、世帯主の会社では年末調整で配偶者の年収を申告する必要があります。

  1. 年収の正確な把握
    • 1月1日〜12月31日の給与総額を正確に把握しましょう。交通費や非課税の手当は含みません。
  2. 配偶者控除等の申告
    • 世帯主の会社に提出する「給与所得者の配偶者控除等申告書」で、ご自身の年収(所得の見積額)を正確に記載します。
    • どちらの年収でも、世帯主は満額の控除を受けられるため、税制上の大きな心配はありません。(配偶者控除 or 配偶者特別控除)

まとめ:結局、今年どれくらい働くのが最適?

あなたが「何」を重視するかによって答えは異なります。

優先したいこと目標年収理由
① 今の手取り123万円以下社会保険料の負担がなく、手元に残るお金が多い。
② 将来の安心160万円働けない時の保障と、老後の年金増加という長期的なメリットが大きい。

目先の約20万円の保険料負担と、長期的な安心感を比較して、ご自身に最適な働き方を選んでみてくださいね。(今回のブログは令和7年10月8日時点の情報を基に作成しています)